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工作に苦戦していた娘へのアドバイスが、うまくハマった話|「子育て」×「思考展開図」

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タイトル通りですが、小学生の娘がビックリ箱作りに苦戦していたので、改良策の立て方についてアドバイスしました。その結果、最終的に1人でビックリ箱を完成させることができ、娘はメチャメチャ喜んでいました。

工作に苦戦している子どもへのアドバイスの仕方は、多くの親が悩むポイントだと思いますが、今回は、わりとうまくいった事例のような気がするので、整理しておきたいと思います。娘は、改良の過程もかなり楽しめていたようでした。

アドバイスの際には、下記の『創造設計の技法』に記載されていた「思考展開図」の考え方を活用して、小学生向けに嚙み砕いて説明しました。工学分野で使われる手法です。どのようなフレームワークでアドバイスするか悩みましたが、「思考展開図」は、表や数値を使わずに、わかりやすくシンプルに考えを整理できるという点で、子どもにもうまくハマった気がします。

ビックリ箱作りの苦戦状況

娘は、弟を驚かせようとして、ビックリ箱を作っていました。ひとまず見様見真似で最後まで作りきったのは、偉いと思います。ものづくりが好きなのでしょう。

ただ、せっかく作ったビックリ箱に問題が発生していました。

折り紙製のバネが箱の中で伸びきってしまう問題が発生

フタを開ける前から、折り紙製のバネが、箱の中でグニャグニャに伸びきってしまい、うまく箱から飛び出さないのです。

「うーん、どうしよう」などと言いながら作戦を練っているようだったので、私は一旦放置していたのですが、その後、助けを求めてきたので、一緒に考えてみることにしました。

何から手を付ければ良いか|思考展開図で状況を整理

思考展開図の作成

「何から手をつければ良いのかがわからない」という状態だったようなので、一緒に状況を整理して、改良策を見つけ出してみることにしました。

大人から見れば、バネをもっと硬いものに改良すれば良さそうなのは明らかだったので、普段なら「バネを作り直したら?」と直接的なアドバイスをしていたと思います。しかし今回は時間的な余裕もあり、「バネを作り直す」という考えに至る過程を学ぶ良い機会のような気がしたので、じっくり取り組んでみることにしました。

状況を整理するために、娘と話しながら、一緒に思考展開図を作成しました。作成時は、基本的には親がリードしました。思考展開図を子どもだけで作るのは難しいですし、考え方がなんとなく伝われば十分なので、親が発案し、合っているかどうかを娘に確認するような感じで進めました。今回作成したビックリ箱の思考展開図を下に示します(実際のものは、小学生向けに平仮名で書いたりしたので、少し表現が異なっていますが)。

思考展開図のルールは単純明快で、たった2つだけです。

思考展開図のルール
①機能、機構の順番通りに左から右に書くこと
②必要最小限の個数のノードやラインで書くこと

難しく書く必要はなく、むしろ「ほどほどの数で整理すること」が推奨されています。細かいことまで書くとキリがないので、粗めで切り上げるのがコツのようです。

上のビックリ箱の例の場合は、目的である「弟をビックリさせたい」からスタートして、右へ右へ、必要な機能、そして、それを実現させるために必要な機構に展開していきます。子どもに対しては、「何が必要かな」「これも必要じゃないかな」と問いかけながら埋めていきました。

図解することで、ビックリ箱を成立させるために必要な要件が明確になりました。

思考展開図による気付き

ビックリ箱の現状と照らし合わせて、下図のように、できているところに〇を、不十分なところに△のマークを付けてみました。何を解決すれば良いかがハッキリするので、「何から手をつければ良いのかわからない」というモヤモヤ状態から抜け出すことができました

当初予想していた通り、「曲がりにくい硬いバネ」が必要そうですが、代案として、「バネの幅にピッタリの箱」にしても良さそうだというアイデアも出てきました。また、当初は予想していませんでしたが、「バネの力に負けないフタ」も必要そうだということがわかりました。

さらに、この整理方法の良いところは、単に問題点が見つかるだけでなく、良く作れている点も見つけられる点です。既に〇が付いている箇所に関しては、「既にしっかり作れているね!」と褒めてあげることができました。

思考展開図以外の製品改良のアプローチとしては、例えばトヨタ式の「なぜなぜ分析」なども効果的なのですが、「なぜ失敗したのか」を掘り下げることになるので、子どもに対しては、自信を失わせてしまう懸念がありました。思考展開図の方がポジティブなアプローチなので、子どもに対しては、褒めるポイントを見つやすく、ものの凄さやものづくりの楽しさも伝えやすいので、良いかなと感じました。

いざ改良!

改良すべき機構が明らかになったので、娘は早速、バネとフタの改良に取り組んでいました。

改良作業|硬いバネとフタの作成

その後の改良作業でも細々としたアドバイスはしたのですが、最終的には思い通りのビックリ箱をほぼ1人で完成させられました。娘はメチャメチャ喜んでいました。

一旦完成した後も、何回かに一回は、うまく飛び出さないことがあったようで、成功率(ロバスト性)を高めるために自分で考えてあれこれと改良を始めていました。改良することに自信が付いたようなので、良い経験になったと思います。悩んでいた子どもへのアドバイスとして、わりとうまくいった事例のような気がしています。

今回のたった1回で思考展開図をマスターできるわけはないと思うので、今後も時々は、今回のようにじっくりと自分の考えを一緒に整理する機会を作れれば良いなと考えています(娘からウザがられない程度の頻度で笑)。

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