雑学

ジャケットのボタンを1つだけで留めて、取れやすくならないのか?

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スーツのジャケットの1番下のボタンは外す」というのは、言わずと知れたマナーですが、皆さん、納得できていますか?

「ジャケットの1番下のボタンは外す」のがマナー…らしいが…

スーツのジャケットの1番下のボタンは外す」というマナーを初めて聞いたとき、

マナー初心者
マナー初心者

2~3個あるボタンのうち、1個しか使わないなんて、これは、本当に服の設計者が想定した使い方なのだろうか

1個しか使わないことで、ボタンの糸がちぎれやすくなったり、ボタンが取れやすくなったりしないだろうか?

と、不安になった人はいないでしょうか?(あまりいなそうな気はしますが・・・)

まだ服だから良いものの、例えば

・自動車の車輪は3個がオシャレなので、4個のうちの1個は外しましょう。
・椅子の脚は3本がオシャレなので、4本のうちの1本は折りましょう。

と同等のことを言われていると考えると、急に不安にならないでしょうか?

そんな使い方をして壊れないのかと。ボタンに過剰な負荷がかかって、ボタンが取れやすくなったりしないのかと。

私は一瞬不安がよぎったので、考えてみました。結論としては

問題ない

ので、今後もマナーを遵守して従順に生きていけば大丈夫だと思われますが、一応、考えたことを以下に書いておきます。

服に外力が作用する場合

私と同様に不安を感じた人がいるとすると、下図のように、服に外力が作用する状況をイメージしているのではないでしょうか。

例えば、左図のようにマナー違反してボタン3個で、しっかりとジャケットを留めた場合、服に外力が作用したと仮定すると、ボタン1つずつに作用する力は分散します(位置の違いによって、均等にはなりませんが、ある程度は分散します)。これに対して、マナーを遵守してボタンを留める数を減らすと、右図のように、少ない数のボタンに力が集中し、ボタンには、より大きなダメージが発生します

この状況だと、マナーを遵守してボタンを外すと、ボタンが取れやすくなりそうな感じがします

服に外力が作用すると仮定した場合

ただ、実際にジャケットに大きな外力が発生する状況が起こり得るでしょうか?ポケットに重量物を詰め込んだ場合等、有り得なくはないかもしれませんが・・・。

実際にジャケットに負荷がかかる状況としては、外力自体は小さいが、変形が大きい、というシーンの方が大半だと想定されます。例えば、腕を曲げたり伸ばしたり、あるいは、座って体勢を変えたりするときです。大きな外力が作用するわけではないが、じわじわと服が伸ばされる、以下のような状況です。

服が変形する場合

外力自体は小さくても変形が大きい状態とは、例えば、座って脚を広げたりしてジャケットの裾が広がる、下図のようなシーンです。

服が変形すると仮定した場合

この状況では、左図のようにマナー違反してボタン3個で、しっかりとジャケットを留めた場合、ボタンによる拘束が強すぎて、むしろボタンに負荷がかかります。一方、右図のようにマナーを遵守してボタンの数を減らした方が、ジャケットが変形に追従しやすくなるので、むしろ、ボタンへの負荷は軽減されるのです。

このように、現実的な状況では、マナーを遵守してボタンを極力外した方が、ボタンへの負荷がむしろ軽減される場合が多いと推定されます。なので、ボタンが取れないか心配な人も、安心して、マナーを遵守すれば良いと考えられます。

例えば工学分野での機械設計においても、補強部材を増やせば増やすほどより高強度に、長寿命になるかと言うと必ずしもそうではありません。
例えば熱膨張のような変形(変位)が製品へのダメージになる状況では、変位が拘束されるほどダメージ(熱応力)が増えるという場合もあります。ボタンを留めるほど負荷が増えた状況と同様です。
各機械において、ダメージの種類(荷重制御 or 変位制御)を想定して、拘束を増やすべきかそうでないか、検討する必要があります。

結論

スーツのジャケットの1番下のボタンは外す」というマナーを遵守した場合、外力に対してはボタンへの負荷が増加しますが、より現実的な、腕を曲げたり伸ばしたり、あるいは、座って体勢を変えたりといったシーンを想定した場合には、むしろボタンへの負荷が軽減されます。よって、ボタンが取れやすくならないか不安だった人も、安心してマナーを遵守すれば大丈夫です

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